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地球の食料生産カロリーはどれくらい?人類を何人分まかなえるのかをわかりやすく解説

目次

人類は本当に「食料不足」なのかをデータで読み解く

「世界には飢餓がある」と聞くと、多くの人はまず「そもそも地球全体で食料が足りていないのではないか」と考えるかもしれません。
実際、ニュースでは食料危機や栄養不足がたびたび取り上げられます。

しかし、世界全体の食料生産をカロリーで見ると、少し違った姿が見えてきます。
地球は今、人類全体が必要とする量を大きく上回る食料を生産しています。にもかかわらず、飢餓はなくなっていません。

この記事では、世界の食料生産量をカロリーで整理し、人類全体の必要量と比較しながら、なぜそれでも飢餓が残るのかをわかりやすく解説します。


世界の食料生産量はどれくらいあるのか

まず、地球全体で年間どれほどの食料が作られているのかを見てみましょう。

FAOの推計をもとにすると、世界全体の年間食料生産量は約28兆kcalに達します。
これは穀物、油脂、砂糖、畜産物などを含めた、食料全体を合計した規模です。

数字だけだと実感しにくいかもしれませんが、人間一人あたりに換算すると、その大きさがよくわかります。

数字で見る世界の食料生産

  • 約28兆kcal/年
    世界全体の年間食料生産量
  • 約380億人分
    世界人口約80億人の、およそ4.7倍に相当
  • 1人あたり1日3,500〜5,000kcal相当
    生産量を人口で割った場合の目安

一般に、成人が1日に必要とするカロリーはおおむね2,000〜2,500kcal程度です。
それと比べると、地球全体の食料生産量は、少なくとも総量としては必要量をかなり上回っていることがわかります。


人類全体の必要カロリーと比べるとどうなるか

では、現在の人類全体が1年間に必要とするカロリーはどれくらいなのでしょうか。

世界人口を約80億人、1人あたりの必要量を1日2,000kcal前後として単純計算すると、人類全体の年間必要量は約5.8兆kcalになります。

これを、世界の年間食料生産量である約28兆kcalと比べると、差は非常に大きいことがわかります。

生産量と必要量の比較

  • 世界の食料生産量
    約28兆kcal/年
  • 人類全体の必要量
    約5.8兆kcal/年
  • 必要量は生産量の約21%
    逆にいえば、生産量は必要量の約4〜5倍

つまり、カロリーの総量だけで見れば、地球は現在の人類を十分に養えるどころか、大きな余剰を持っているということです。

ここはとても大切なポイントです。
世界の飢餓問題は、単純に「地球全体で作っている量が少なすぎる」ことだけでは説明できません。


人類はいつから「余るほど作れる」ようになったのか

ただし、こうした状況は人類の歴史の中ではごく最近のことです。

長い間、食料不足は人類にとって避けがたい問題でした。
人口が増えれば食料が不足し、天候不順や災害が起きれば飢饉が起きる。そうした時代が長く続いてきました。

この流れを大きく変えたのが、20世紀半ばから広がった緑の革命です。

緑の革命とは、高収量品種の導入、化学肥料や農薬の普及、灌漑設備の整備などによって、農業の生産性が大きく向上した変化を指します。

食料生産の歴史的な転換点

〜1950年代

人口増加に対して食料生産が追いつかず、各地で慢性的な不足や飢饉が発生していました。
伝統的な農法だけでは、生産量を十分に伸ばすことが難しかった時代です。

1960〜70年代

ここが大きな転換点です。
緑の革命が本格化し、高収量品種・化学肥料・灌漑技術の普及によって、1950年から1984年の間に世界の穀物生産量は約160%増加したとされます。

この時期から、世界全体の食料生産が人類の必要量を安定的に上回るようになっていきました。

1980年代〜現在

その後も生産量は増加し、人口の伸びを上回る状態が定着しました。
1人あたりで利用できるカロリー量も、緑の革命以前に比べて大きく伸びています。

2020年代

現在では、世界全体で見れば食料は十分以上に作られています。
それでもなお、約7億3,500万人が飢餓に直面しているとされています。

つまり、「食料が余る時代」は、人類の長い歴史から見れば、まだここ60〜70年ほどの新しい時代にすぎないのです。


それでも飢餓がなくならない理由

ここで重要なのは、食料が十分に生産されていることと、すべての人が実際に食べられることは別だという点です。

現在の飢餓問題は、単純な生産不足だけではなく、食料の使われ方や分配の仕組みに深く関係しています。

飼料や燃料に回される食料が多い

生産された穀物のかなりの部分は、人が直接食べるのではなく、家畜の飼料として使われています。
さらに、一部はバイオ燃料にも転用されています。

たとえば牛肉の生産には大量の飼料穀物が必要であり、食料を直接人が食べる場合に比べて、カロリー効率は低くなります。
そのため、総生産量が多くても、そのすべてが人の口に入るわけではありません。

フードロスが大きい

世界では、生産された食料のおよそ3分の1が失われたり、廃棄されたりしているとされます。
量にすると約13億トン規模です。

先進国では、売れ残りや食べ残しなど、消費段階での廃棄が大きな問題です。
一方、途上国では、保存設備や輸送インフラの不足によって、流通の途中で失われる割合が高くなります。

分配の不平等がある

世界全体に食料があっても、それが必要な地域に届かなければ意味がありません。
紛争、政治不安、道路や港湾の未整備、物流網の弱さなどによって、食料を運べない地域が存在します。

つまり、「食料がある」ことと「必要な場所に届く」ことの間には、大きな隔たりがあるのです。

経済格差が食料アクセスを妨げる

市場に食料が並んでいても、それを買うためのお金がなければ、人は食べることができません。
この意味で、飢餓は農業だけの問題ではなく、貧困、雇用、所得、価格、社会保障とも強く結びついています。

食料は生産されていても、購入する力がなければ、実際の栄養にはつながりません。


食料問題の本質は「不足」よりも「分配」にある

ここまで見てきたように、地球は現在、人類全体が必要とする量を大きく上回る食料を生産しています。

それでも飢餓が残るのは、単に生産量が足りないからではありません。
むしろ問題の中心は、どこで、誰のために、どのように食料が使われ、どこまで届いているかにあります。

言い換えれば、現代の食料問題は、農業生産の問題であると同時に、流通、所得、政治、インフラ、社会制度の問題でもあるのです。


まとめ

「食料が足りない」のではない。
「届いていない」「無駄になっている」のである。

地球は年間約28兆kcalもの食料を生産しており、これは人類全体の必要量の約4〜5倍にあたります。
この大きな余剰を可能にしたのは、1960〜70年代の緑の革命でした。

ただし、現実には今も多くの人が飢餓や栄養不足に苦しんでいます。
その背景には、飼料・燃料への転用、フードロス、分配の不平等、経済格差といった問題があります。

これから問われるのは、単にもっと作ることではありません。
いかに無駄を減らし、公平に、必要な人のもとへ食料を届けるか。
そのための分配や流通の仕組み、そして社会の設計そのものが、ますます重要になっています。


参考データ
FAO Food Balance Sheets / PNAS Green Revolution Review / Our World in Data

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この記事を書いた人

人間とは何か、暮らしとは何か。
そんな関心を出発点に、農・経済・歴史・生活・哲学・科学を横断しながら書いています。
食や土地の話を入口に、制度や社会の動きを見つめ、歴史の流れをたどり、哲学で問いを深め、科学で確かめる。
一念三千を胸に、日々のことを少し広く、少し深く考えるブログです。

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